2018/11/16

バザン生誕100周年記念イベントのお知らせ

 フランスの映画批評家アンドレ・バザン(1918-1958)は、今年、生誕100年、歿後60年を迎えます。2016年6月に山形大学人文社会科学部附属映像文化研究所内に発足し、国内の様々な大学に所属する10名の研究者で構成されるアンドレ・バザン研究会は、これまで2号にわたって会誌『アンドレ・バザン研究』を刊行し(第1号第2号)、映画研究・批評にとって巨大な存在であるバザンの思索についての考察を深めてきました。

 今回の生誕100周年記念イベントはパート1とパート2に分かれ、東京と山形で1日ずつ開催します。パート1「21世紀のアンドレ・バザンに向けて」では、20世紀中葉の限られた期間しか活動しなかったバザンが、どのような今日的意義を持つのかを考察するとともに、研究会会員による最新のバザン研究の一端を披露します。パート2「映画とアダプテーション――アンドレ・バザンを中心に」では、バザンの中心的なテーマの一つだった「アダプテーション」に焦点を絞り、単なる文学作品の脚色を越えたその諸相を探ります。

 なお、特別ゲストとして、世界的なバザン研究の第一人者であるダドリー・アンドリュー氏(イェール大学)をお招きし、両パートで基調講演をしていただきます。また、東京での基調講演を受けたラウンドテーブルでは、映画監督の濱口竜介氏にも加わっていただき、バザンのアクチュアリティについて討議を行います。さらに、山形ではフランス文学者の吉村和明氏(上智大学)にもゲストとして研究発表を行っていただきます。

【12/5追記】なお、京都文化博物館フィルムシアターでは12月22日(土)に、ダドリー・アンドリュー氏の基調講演や『近松物語』4Kデジタル修復版上映を含む溝口健二生誕120年記念国際シンポジウム「『近松物語』における伝統と革新」が開催されます。詳細は、こちらをご覧ください。


アンドレ・バザン生誕100周年記念イベント


パート1「21世紀のアンドレ・バザンに向けて」

【日時】2018年12月16日(日) 13:00-18:30
【会場】東京大学駒場キャンパス 21 KOMCEE West 地下1階レクチャーホール アクセス キャンパスマップ

【タイムテーブル】
13:00-14:30
基調講演
ダドリー・アンドリュー(イェール大学)「この残酷な世界をめぐるバザンの統合的パースペクティヴ」
Dudley Andrew (Yale University), “Bazin’s Integral Perspective on Our Cruel World”

14:45-16:15
第一部 ラウンドテーブル「バザンのアクチュアリティ」
野崎歓(東京大学)/濱口竜介(映画監督)/三浦哲哉(青山学院大学)/ダドリー・アンドリュー
Kan Nozaki (University of Tokyo), Ryusuke Hamaguchi (Film Director), Tetsuya Miura (Aoyama Gakuin University), Dudley Andrew

16:30-18:30
第二部 研究発表「バザン研究の現在」
堀潤之(関西大学)「バザン以前のバザン――「写真映像の存在論」草稿を読む」
Junji Hori (Kansai University), “Bazin Before Bazin: Reading the Manuscript of ‘Ontology of Photographic Image’ ”

角井誠(首都大学東京)「俳優の逆説――アンドレ・バザンの演技論」
Makoto Sumii (Tokyo Metropolitan University), “Paradox of the Actor: Bazin on Film Acting”

伊津野知多(日本映画大学)「存在に触れるまなざし――観客論としてのバザン的リアリズム」
Chita Izuno (Japan Institute of the Moving Image), “Looking Is Touching: Bazin’s Realism as Theory of Spectatorship”

総合司会:野崎歓
Moderator: Kan Nozaki

入場無料、事前予約不要
日本語・英語(通訳あり)



パート2「映画とアダプテーション――アンドレ・バザンを中心に」

【日時】2018年12月20日(木) 14:00-17:00
【会場】山形大学人文社会科学部1号館3階 301教室 アクセス キャンパスマップ

【タイムテーブル】
14:00-15:00
講演
ダドリー・アンドリュー(イェール大学)「アダプテーションからエクリチュールへ――アンドレ・バザンの成熟」
Dudley Andrew (Yale University), “From Adaptation to Ecriture: the Maturity of André Bazin”

15:10-17:00
吉村和明(上智大学)「可能性としてのアダプテーション――ロベール・ブレッソン『ブローニュの森の貴婦人たち』をめぐって」
Kazuaki Yoshimura (Sophia University), “The Possiblility of Adaptation: On Robert Bresson's Les Dames du bois de Boulogne”

須藤健太郎(首都大学東京)「「不純な映画のために」の仮想敵」
Kentaro Sudoh (Tokyo Metropolitan University), “What Does ‘For an Impure Cinema’ Argue Against? ”

大久保清朗(山形大学)「忠実さをめぐって――フランソワ・トリュフォー「フランス映画のある種の傾向」におけるアダプテーション批判」
Kiyoaki Okubo (Yamagata University), “Adaptation and Fidelity: Truffaut and Bazin in ‘A Certain Tendency of French Cinema’ ”

司会:野崎歓(東京大学)
Moderator: Kan Nozaki (University of Tokyo) 

入場無料、事前予約不要
日本語・英語(通訳あり)